「学童に行きたくない」親がとるべき行動とは?
働く親にとって、「放課後、誰が子どもを見るか?」は大きな問題の一つで、『学童保育』はその重要な役割を担っています。
しかし、親の都合で預けられる子どもたちの中には、なかなか場の雰囲気に馴染めず、「行きたくない」と言い出す子もいます。
そんな時、親はどうすれば良いでしょうか?『学童』を嫌な場所から居心地の良い場所にするために何かできることはないのでしょうか?
私が学童保育指導員として働いていた頃を思い出しながら、対処法について考えていきたいと思います。
学童保育とは?
学童保育とは、共働きなど、日中保護者が家にいない児童(=学童)に対して、放課後の遊びや生活の場を提供し、児童の安全を守るとともに健全な育成を図る、「放課後児童健全育成事業」の通称です。
2015年4月、児童福祉法改定により、それまで「3年生まで」とされていた学童保育の対象が「6年生まで」に引き上げられました。
私が働いていた学童でも、それまで「3年生まで」だったのが「6年生まで」OKとなりました。
しかし、高学年にもなると、学童では好きな事が出来なかったり、小さい子たちと一緒にいたり・・という空間を嫌って一人で留守番する子や、塾などの習い事で家にいないことが多いために学童を利用しない子もいて、実際に学童を利用しているのは小学1年生~3年生がほとんどでした。
子供がなぜ「学童に行きたくない」のか?
高学年だけでなく、低学年、特に1,2年生が学童を嫌がることもしばしば。
「学童に行きたくない」と言われても、親は困りますよね。
一人で家に置いておけないし、見てくれる人はいない。
仕事をやめた方が良いのか?フルタイムからパートタイムに仕事を変えるべきか?
では、なぜ「学童に行きたくない」のでしょうか?
まずはその理由を聞き、子どもの心情を理解したうえで、どう対処すべきかを考える必要があります。
考えられる理由をいくつか挙げてみましょう。
- 理由1 雰囲気に馴染めない
1年生に多いですが、入学してやっと小学校に慣れたのに、疲れて帰る場所は『学童』。なかなか緊張感がとれず、雰囲気に馴染めず疲れてしまう子がいます。
- 理由2 苦手な友達や先生がいる
人と人とは相性ですから、中にはどうしても合わない人がいます。
好きな指導員がいれば苦手な指導員もいますし、好きな子がいれば苦手な子もいて当然です。
また、異なる学年の、特に年上の子が怖い、ということもあるようです。
- 理由3 好きな遊びができない
家に帰れば、好きなテレビを見て、好きなゲームができるのに、学童ではそれができません。
DVDも観たいものが観れないですし、「学童はつまらない」と感じてしまう子もいます。
- 理由4 遊びたい友達が『学童』を利用していない
学校で仲の良い子と、放課後も遊ぶ子が多いです。
そのため、仲良しの子が学童を利用していないために一緒に遊べず、「私も学童には行きたくない」と訴えてくる子もいるようです。
私が働いていた学童は、児童館併設の学童でしたから、仲良しのお友達に児童館に遊びに来てもらい、放課後一緒に遊んでいる子も多かったですよ。
- 理由5 長期休暇中の学童に飽きてしまう
夏休み中、毎日のように朝早くから夕方遅くまで預けられる子はたくさんいます。
放課後の短い時間なら我慢できることも、毎日、長時間となると辛いものです。
学童の先生たちも、飽きないようにと色々なイベントを企画したり、新しいDVDを仕入れたりしますが、やはり何日も続けば、やることもなく飽きてしまい、長期休暇中に「行きたくない」と言い出す子も多いようです。
子供のために仕事をやめるべき?親がとるべき行動は?
「学童に行きたくない」と子どもに言われたとき、親はどうすれば良いでしょうか?
仕事はやめられないし、困るな~と思うのは当然です。
でも、仕事の心配をする前に、まず、子どもの心配をしましょう。
一番大事なことは、子どもの気持ちを理解してあげることです。
なぜ「行きたくない」のか、その理由をきちんと聞いて、子どもの心情を理解してあげましょう。
学童にいる子どもたちは、口には出さなくても、寂しさを抱えている子が多いです。
迎えに来たお母さんに、「ママ!」と叫んで抱きついた女の子の嬉しそうな顔、「今日はじいじじゃなくてママがお迎え♪」と喜ぶ男の子の照れた顔、夏休みに朝一番に来たのに、最後まで迎えが来なくて泣きそうな顔をしている子どもたちの顔を私は今でも忘れられません。
もちろん、「働かなきゃいけないんだから!」「仕方ないでしょ!」という親御さんの気持ちもわかります。
だからこそ、話を聞いてあげてください。
ゆっくり話したり、一緒に遊んだりすることで、安心して、「もう少し学童頑張る!」と言う子もきっといると思います。
それでもダメなら、指導員に相談しましょう!
学童保育指導員は、どこか、その子たちの親のような気持ちで子どもたちを見守っている人が多いです。
辛いことがあれば聞いてあげたいし、気持ちよく過ごせるようにしたいと思っています。悩みがあれば、すぐに相談し、一緒に解決策を考えましょう。
『学童保育』以外の選択肢は?
問題を解決できれば良いですが、どうしても「行きたくない」という場合もあります。
「嫌ならすぐやめる」は教育上良くない気がしますが、我慢を続けることも決して良いことではありません。
お子さんがストレスを感じてつらそうにしていれば、学童に行かずにすむ方法を考えなくてはなります。
実際に、共働きなどで保護者がいないのに、学童を利用していない、または、学童をやめた子どもたちがどのように過ごしているかというと、
- キッズケータイを持たせて留守番させる。
- 習い事に行かせて、終わる時間に迎えに行く。
- 「放課後子供教室」や民間の学童保育などを利用する。
- 祖父母に預ける。
- 信頼できるお友達の家に預ける。
- ファミリーサポートを利用する。(毎日、または、保護者の帰りが遅くなる時)
- 両親のどちらかが仕事を変えるなどして、子どもを見る。
などが挙げられます。
最後のは・・・最終手段ですが、簡単なことではありません。
これが正解!ということはないんです。
お子さんやご家族ともよく相談し、ご両親の負担やお子さんのストレスなどを考慮して、ベストな方法を考えましょう。
おわりに
誰にとっても居心地の良い場所ってそうそうありません。
学童が好きな子もいれば、苦手な子もいます。
学校や仕事と同じです。
でも、嫌だからと言ってすぐにやめられるものではありません。
話し合って、解決の糸口を探しましょう。
どうしてもお子さんのストレスになるようなら、『学童保育』以外の選択肢を考えたり、フルタイムからパートタイムの仕事に変えたりするのも良いでしょう。
子どもが自分らしく過ごせるように、親はしっかり見守っていきましょう。