「初盆」とは?家族のみで行う場合の決まりは?
近年、核家族化や地域の関わり合いが薄れる中、葬式や法事などを家族のみで行う人が増えています。
家族のみで行われることは、決して悪いことではありませんが、「何でも簡素化したい」という意図で行われるのであれば、少し寂しいことのように思います。
家族のみで行う場合も、初盆の決まりを守り、きちんと供養しましょう。
初盆とは?
初盆とは、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆のことです。
地域によっては、新盆(読み方は「にいぼん」「あらぼん」など)と呼ぶところもあります。
「初めて迎える」とは言っても、故人の死後、四十九日(故人の魂が旅立つ日)の忌明け後、初めて訪れるお盆のことを言いますので、お盆の直前に亡くなった場合などは、翌年のお盆が「初盆」となります。
そもそも、お盆には先祖や亡くなった人たちが浄土から地上へと戻ってくる、といわれており、お供えや提灯を置き、先祖の霊を迎え、供養する期間をお盆と呼びます。
初盆では、さらに祭壇を設けたり、華やかな飾りつけをして僧侶による法要を行い、墓参りをします。その後、会食の場を設けることもあります。
「初盆」の準備や決まり事
初盆を迎えるにあたり、何をすればよいのでしょうか?
初盆の基本的な流れをご紹介します。
≪初盆の流れ≫
8月13日(または12日)
- 盆の入りである8月13日の午前中(または12日)に仏壇の前に精霊棚を飾り、位牌・香炉や燭台などを飾り付ける。(地域差や宗派による違いあり)
- 白提灯を玄関先や軒先に飾る。
- 13日の午後、墓の掃除と墓参りをし、盆提灯に火をともす。
- 夕方、故人や先祖の霊を家に迎えるための「迎え火※」を焚く。
8月14~15日
- 14~15日の間に、僧侶による法要を行い、墓参りをする。
- 法要の後、会食を行うこともある。
この期間中は、先祖の霊が戻ってきているので、灯明は絶やさないようにし、水やお供え物は毎日交換する。
8月16日
- 盆の明けである16日、最後のお供えをする。
- 夕方、「送り火」を焚き、先祖の霊を見送る。
- 白提灯を一緒に燃やすか、お寺で供養してもらう。
簡単な説明ではありますが、以上のようになります。
※「迎え火(送り火)」…玄関先や庭先で、素焼きの焙烙(ほうろく)と呼ばれる皿に麻幹(おがら)をのせて燃やします。おがらは、麻から皮を剥いだ後に残った芯の部分のことで、清浄な空間を作り出すという意味で、これを燃やします。
お盆のお供え物である精霊馬(しょうりょううま)とは?
「精霊馬」と聞いても、何のことかわからない方もいらっしゃると思いますが、きっと一度は目にしたことがあるはずです。
精霊馬とは、お盆のお供え物の一つで、きゅうりとなすを用いて作る、「馬」や「牛」の人形のことです。きゅうりに割り箸などで足を付けたものが「馬」で、なすに足を付けたものが「牛」です。
馬は歩みが速く、牛は遅いことから、「早く帰ってきて、ゆっくり帰ってね」という願いが込められています。
初盆には自宅にお坊さんを呼ぶ?
自宅に僧侶を呼び、自宅広間で盛大に会食を行うのが一般的ですが、宗派や地域によって異なるので、わからない時には、お寺に確認しましょう。
また、最近では、お寺で法要を行い、その後、料亭やホテルの一室などで参列者(故人と親交の深かった人たち)に食事を振る舞う人も増えているようです。
僧侶の手配や場所の確保などは、早めに(およそ一ヶ月前には)済ませましょう。
親族や故人と親交が深かった方をお呼びする場合は、日程が決まり次第、早めに連絡をしましょう。往復はがきによる出欠確認が一般的ですが、家族のみで行う場合などは、電話連絡で良いでしょう。
「初盆」を家族のみで行うときの服装は?
初盆に呼ぶ人には決まりがないため、家族のみで行っても問題ありません。
その場合は、親戚や知人に「家族のみで行う」ことを事前に知らせておきましょう。
家族のみで行う場合、服装は何でも良いのでしょうか?
初盆の服装は、遺族も参列する人も全員喪服が基本です。
とは言え、家族のみで初盆を行う場合は、喪服でなくてもかまいません。
その場合は、黒やグレーといった地味な服装(略喪服、平服)を心がけ、派手な色柄物や露出度の高い服装はNGです。
喪服をお持ちでない方も、今後どなたかの葬儀や法要に招かれる可能性がありますから、喪服はきちんとしたものを一着用意しておくと、いざという時安心です。
私も、父の初盆の法要を家族のみで行いました。
エアコンが付いていない部屋で法要を行うため、服装は涼しさを優先させました。
色は紺色の麻混素材で襟のないTシャツとプリーツスカートにしました。
ストッキングは履きませんでしたが、裸足ではちょっと気が引けますよね。
なので、黒のフットカバーを履きました。
おわりに
初盆とは、故人が亡くなって(四十九日過ぎて)最初に訪れるお盆のことで、最初のたった一度しかありません。
家族のみで行う場合も、決まりを守り、きちんと供養しましょう!
きちんと供養し、故人の冥福を祈ることで、遺族も前に進んでいけるのではないでしょうか。